2015年にカヴァーアルバム『UNITED COVER 2』をリリースして以降、2015年9月より2016年4月の富山オーバード・ホール公演まで、精力的に全国ツアーを実施した井上陽水が、9月27日 よこすか芸術劇場を皮切りに、<井上陽水 コンサート2016秋「UNITED COVER 2」>と題し、再び全国ツアーをスタートさせた。
このツアーはスタートからすでに1年となり、これだけのキャリアを誇るアーティストがこれほど長期に渡ってツアーを行うことは異例だ。
ツアー初日、よこすか芸術劇場公演は、「ミスコンテスト」「カナリア」「Make-up Shadow」と妖しげ、かつ大人の魅力たっぷりの楽曲でスタート。冒頭、井上陽水は4月以降、しばらくコンサートが無かったことに触れ、「率直に言えば、寂しかったです。」と冗談めかして語ると、会場からは笑いがこぼれる。「みんなの前で歌えることがどれだけ幸せなことか」とシャイな井上陽水からは意外な言葉が出たが、「なんて、ことは口が裂けても(自分は)言う人間じゃなかった。」と続けると、再び笑いが起こる。
本人曰く「去年だったか、一昨年だったかいつリリースしたっけ?」とおどけた、アルバム『UNITED COVER 2』(昨年リリース)に収録されている楽曲から「シルエットロマンス」「夢であいましょう」など、観客の世代も様々な中、それぞれの青春を代表する楽曲が披露され、しっとりとした会場の空気を作り、NHK「ブラタモリ」のテーマソングとなっている「女神」「瞬き」では大きな拍手が起こり、井上陽水の新たな代表曲ともいえるステージとなった。
後半では「東へ西へ」「ジェニーMy love」「氷の世界」など井上陽水自身の楽曲で構成され、その音楽性の懐の深さと井上陽水ならではの歌詞世界を堪能できるパートとなった。日本のトップミュージシャンの演奏をバックに歌う、ストイックな姿は、先ほどまでゆるいトークで会場に笑いを提供していた人物と同じとは思えない。
アンコールでは「渚にまつわるエトセトラ」「夢の中へ」とアッパーな楽曲で多くの観客は立ち上がり、手拍子が起こり、最後は「夏の終りのハーモニー」を歌い上げ、しっとりとコンサートを締めくくった。緊張と緩和、熱狂と静寂、これこそが井上陽水のコンサートの魅力。惜しげもなく繰り出される名曲の数々と、落語の名人芸のような軽妙なトークは是非、直接コンサートへ足を運んで確認してほしい。
撮影:有賀幹夫
■井上陽水 コンサート2016秋「UNITED COVER 2」
9/27(火) 神奈川 よこすか芸術劇場
9/28(水) 神奈川 茅ヶ崎市民文化会館
10/3(月) 東京 府中の森芸術劇場
10/7(金) 三重 桑名市民会館
10/8(土) 岐阜 長良川国際会議場
10/11(火) 東京 Bunkamura オーチャードホール
10/12(水) 東京 Bunkamura オーチャードホール
10/18(火) 岡山 岡山市民会館
10/19(水) 高知 高知県立県民文化ホール
10/24(月) 福岡 福岡サンパレス ホテル&ホール
10/26(水) 福岡 アルモニーサンク 北九州ソレイユホール
10/27(木) 長崎 アルカスSASEBO
11/3(木) 群馬 桐生市市民文化会館 シルクホール
11/4(金) 神奈川 川崎市教育文化会館
11/9(水) 和歌山 和歌山市民会館 大ホール
11/10(木) 大阪 フェスティバルホール
11/13(日) 長野 ホクト文化ホール (長野県県民文化会館)